【3月12日】債権の発生

第1. 債権の発生
1. 契約
(1) 贈与
・「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」(§549)
・「書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでな。」(§550)
* 受贈者 撤回することができる。
・「甲から不動産を取得した乙がこれを丙に贈与した場合において、乙が、司法書士に依頼して、登記簿上の所有名義人である甲に対し、右不動産を丙に譲渡したので甲から直接丙に所有権移転登記をするよう求める旨の内容証明郵便を差し出したなど判示の事情があるときは、右内容証明郵便は、民法550条にいう書面に当たる。」(最判昭和60・11・29民集39巻7号1719頁)
・「不動産の贈与契約に基いて、該不動産の所有権移転登記がなされたときは、その引渡の有無をとわず、民法第550条にいう履行が終つたものと解すべきである。」(最判昭和40・3・26民集19巻2号526頁)
イ. 贈与者の責任
・「贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わな。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでな。」(§551Ⅰ)。
(2) 売買
イ. 手付
・「買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。」(§557Ⅰ)。
・「解約手附の授受された売買契約において、当事者の一方は、自ら履行に着手した場合でも、相手方が履行に着手するまでは、民法第557条第1項に定める解除権を行使することができるものと解するのを相当とする。」(最大判民集19巻8号2019頁)。
ウ. 売主の権利・義務
(ア) 担保責任
・「前条の場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができな。」(§561)
・「売買契約に基づき目的物の引渡を受けていた買主は、民法561条により右契約を解除した場合でも、原状回復義務の内容として、解除までの間目的物を使用したことによる利益を売主に返還しなければならな。」(最判昭和51・2・13民集30巻1号1頁)。
(イ) 解除
・「売主が契約の時においてその売却した権利が自己に属しないことを知らなかった場合において、その権利を取得して買主に移転することができないときは、売主は、損害を賠償して、契約の解除をすることができる。」(§562Ⅰ)。
(イ) 代金支払義務

・「売買の目的物の引渡しについて期限があるときは、代金の支払についても同一の期限を付したものと推定する。」(§573)。
・「売買の目的物の引渡しと同時に代金を支払うべきときは、その引渡しの場所において支払わなければならな。」(§574)。
エ. 買主の権利・義務
・「」
(3) 交換

(4) 消費貸借
e.g. AはBに対し1000万円を貸し付ける。
ア. 貸主の責任
(ア) 貸主の担保責任
・「利息付きの消費貸借において、物に隠れた瑕疵があったときは、貸主は、瑕疵がない物をもってこれに代えなければならない。この場合においては、損害賠償の請求を妨げな。」(§590Ⅰ)。
イ. 借主の責任
(5) 使用貸借
ア. 貸主の権利・義務
・用法遵守義務:「借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならな。」(§594Ⅰ)。
・費用償還請求権:「借主は、借用物の通常の必要費を負担する。」(§595Ⅰ)。
瑕疵担保責任:「貸主は、使用貸借の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わな。ただし、貸主がその瑕疵又は不存在を知りながら借主に告げなかったときは、この限りでな」(§596, §551)。
イ. 借主の権利・義務
ウ. 終了
・「使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う。」(§599)
(6) 賃貸借
ア. 賃貸人の権利・義務
・修繕義務:「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。」(§606Ⅰ)。
・費用償還義務:「賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。」(§608Ⅰ)。
・「建物の賃借人が有益費を支出したのち建物の所有権譲渡により賃貸人が交替したときは、特段の事情のないかぎり、新賃貸人が右有益費の償還義務を承継し、旧賃貸人は右償還義務を負わない。」(最判昭和46・2・19民集25巻1号135頁)。
イ. 賃借人の権利・義務

・「土地賃借人は、該土地上に自己と氏を同じくしかつ同居する未成年の長男名義で保存登記をした建物を所有していても、その後該土地の所有権を取得した第三者に対し、「建物保護ニ関スル法律」第1条により、該土地の賃借権をもって対抗することができないものと解すべきである。」(最判昭和41・4・27最判20巻4号870頁)

・「自己の所有家屋を他に賃貸している者が賃貸借継続中に第三者に右家屋の所有権を移転した場合には、特段の事情のないかぎり、賃貸人の地位もこれにともなつて右第三者に移転するものと解すべきである。」(最判昭和39・8・28民集18巻7号1354頁)。
e.g. AはBに対し賃貸していたところ, AはCに対し譲渡した。
・「賃貸借の目的となつている土地の所有者が、その所有権とともに賃貸人たる地位を他に譲渡する場合には、賃貸人の義務の移転を伴うからといつて、特段の事情のないかぎり、賃借人の承諾を必要としな。」(最判昭和46・4・23民集25巻3号388頁)。
・「建物賃貸借契約において、該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があつた場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、未払賃料債務があればこれに当然充当され、残額についてその権利義務関係が新賃貸人に承継される。」(最判昭和44・7・17民集23巻8号1610頁)。


(7) 雇用
(8) 請負
・「建物建築工事の注文者と元請負人との間に、請負契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する旨の約定がある場合には、元請負人から一括して当該工事を請け負った下請負人が自ら材料を提供して出来形部分を築造したとしても、注文者と下請負人との間に格別の合意があるなど特段の事情のない限り、右契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する。」(最判平成5・10・19)。
ア. 注文者の権利・義務
・解除権:「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。」(§641)。
イ. 請負人の権利・義務
・報酬請求権:「」
・「仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。」(§634Ⅰ)。
・担保責任:「仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでな。」(§635)。
* 建物
(9) 委任
・「委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。」(§643)

ア. 受任者の権利・義務
善管注意義務:「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。」(§644)。
・報告義務:「受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならな。」(§645)。
・義務:「受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても、同様とする。」(§646Ⅰ)。
・報酬請求権
・「受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができな。」(無報酬の原則)(§648Ⅰ)。
・「受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。」(後払の原則)(§648Ⅱ)。
・費用前払請求権:「委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。」(§649)
・費用償還請求権:「受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。」(§650Ⅰ)。
・代弁済請求権:「受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。」(§650Ⅱ)。
・「受任者が民法650条2項前段に基づいて有する代弁済請求権に対しては、委任者は、受任者に対する債権をもつて相殺することはできな。」(最判昭和47・12・22民集26巻10号1991頁)。
・損害賠償請求権:「受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。」(§650Ⅲ)。
イ. 委託者の権利
ウ. 委任の終了

* シワシワジーコと覚える。
(イ)
・「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。」(§651Ⅰ)。
・「委任の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。この場合において、当事者の一方に過失があったときは、その者に対する損害賠償の請求を妨げない。」
* ちんこいくしきの「い」である。
(10) 寄託
ア. 受寄者の権利・義務
・通知義務:「寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならな。」(§660)。
・「当事者が寄託物の返還の時期を定めなかったときは、受寄者は、いつでもその返還をすることができる。」
・「返還の時期の定めがあるときは、受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還をすることができない。」
*「いつでも」「やむを得ない事由」
イ. 寄託者の義務
・損害賠償義務:「寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならな。ただし、寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき、又は受寄者がこれを知っていたときは、この限りでな。」
・返還請求権:「当事者が寄託物の返還の時期を定めたときであっても、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる。」(§662)。
(11) 組合
ア. 組合員の権利・義務
・「組合の債権者は、その債権の発生の時に組合員の損失分担の割合を知らなかったときは、各組合員に対して等しい割合でその権利を行使することができる。」(§675)。
・「組合員は、清算前に組合財産の分割を求めることができな。」(§676Ⅱ)。
・「組合の債務者は、その債務と組合員に対する債権とを相殺することができない。」(§677)。

() 解散
・「組合は、その目的である事業の成功又はその成功の不能によって解散する。」

・「組合の存続期間を定めた場合であっても、各組合員は、やむを得ない事由があるときは、脱退することができる。」(§678Ⅱ)
・「やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨の組合契約における約定は、無効である。」(最判平成11・2・23民集53巻2号193頁)。
(12) 終身定期金
(13) 和解
2. 事務管理
(1) 

(2) 
(3) 管理者の権利・義務
善管注意義務:「管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わな。」(§698)。
・通知義務:「管理者は、事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければならな。ただし、本人が既にこれを知っているときは、この限りでな。」(§699)。
3. 不当利得
(1) 一般不当利得
ア 要件
(ア)
(イ)
(ウ) 因果関係
(エ) 法律上の原
・「 甲が建物賃借人乙との間の請負契約に基づき建物の修繕工事をしたところ、その後乙が無資力になったため、甲の乙に対する請負代金債権の全部又は一部が無価値である場合において、右建物の所有者丙が法律上の原因なくして右修繕工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたということができるのは、丙と乙との間の賃貸借契約を全体としてみて、丙が対価関係なしに右利益を受けたときに限られる。」(最判平成7・9・19民集49巻8号2805頁)。
イ 効果
・「悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。」(§704)。
・「民法704条後段の規定は,悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りにおいて不法行為責任を負うことを注意的に規定したものにすぎず,悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではな。」(最判平成21・11・9民集63巻9号1987頁)。


(2) 特殊不当利得
ア. 債務の不存在を知ってした弁済
・「債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができな」(§705)
・「」
イ. 期限前の弁済
・「債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。」(§706)
ウ. 他人の債務の弁済

エ. 不法原因給付
・「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでな。」(§708)
・「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。」(§724)。
* プーさんと覚える。
4. 不法行為
(1) 一般不法行為
ア. 要件
イ. 効果
・「」
・「不法行為に基づく損害賠償債務は、なんらの催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥るものと解すべきである。」(最判昭和37・9・4民集16巻9号1834頁)。
(2) 特殊不法行為
ア. 
イ. 
・「未成年者が責任能力を有する場合であつても、監督義務者の義務違反と当該未成年者の不法行為によつて生じた結果との間に相当因果関係を認めうるときは、監督義務者につき民法709条に基づく不法行為が成立する。」(最判昭和49・3・22民集28巻2号347頁)。
ウ. 使用者責任
・「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでな。」(§715Ⅰ)。
(ア) 要件
・「被用者の取引行為がその外形からみて使用者の事業の範囲内に属すると認められる場合であつても、それが被用者の職務権限内において適法に行なわれたものではなく、かつその相手方が右の事情を知り、または少なくとも重大な過失によつてこれを知らないものであるときは、その相手方である被害者は、民法第715条により使用者に対してその取引行為に基づく損害の賠償を請求することができな。」(最判昭和42・11・2)。
(イ) 効果
・(不真正連帯債務)
ウ. 注文者責任
e.g. AはBに対し BはCに対し損害。
・「注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでな。」(§716)。
エ. 工作物責任

カ. 共同
・「甲と乙が共同の不法行為により丙に損害を加えたが、甲と丙との間で成立した訴訟上の和解により、甲が丙の請求額の一部につき和解金を支払うとともに、丙が甲に対し残債務を免除した場合において、丙が右訴訟上の和解に際し乙の残債務をも免除する意思を有していると認められるときは、乙に対しても残債務の免除の効力が及。」(最判平成10・9・10)
・「被用者と第三者との共同不法行為により他人に損害を加えた場合において、第三者が自己と被用者との過失割合に従つて定められるべき自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償したときは、第三者は、被用者の負担部分について使用者に対し求償することができる。」(最判昭和63・7・1民集42巻6号451頁)